選考委員会委員長総評
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第1回FSP(1992)総評 - 選考委員会委員長 石田晴久 -

 このたび、フリーソフトウェアの優秀作品を選定するにあたって、改めて驚嘆したのは、その数の多さ、及び多様性である。したがって、受賞作品の選定には関係の方々に多大の努力を頂いたが、おかげで、多くのユーザーにとって重宝な優秀作品が選べたことはうれしい。特に、今回は第1回目であったため、現在は利用がやや減っているものの、過去に大きな役割をはたした代表作がフロンティア賞にノミネートされたのは大変よかったと思う。
 さて、選考の最終段階では、委員の間で見解がそう違うこともなく、ほぼ全員一致で優秀作品が選定できた。まず、大賞の対象となった『LHA』はほとんどすべてのフリーソフトウェア配布に使われ、外国でも利用されているもので文句なしの受賞である。その他に各ジャンルのもの、主に特定のパソコン通信システムでよく使われているものも選ばれた。いずれも品質の高い優秀なソフトウェアである。
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第2回FSP(1993)総評 - 選考委員会委員長 石田晴久 -

 今回の選考は2回目だが、前回と形が変わったのは、選考母体をニューメディア開発協会内の電子ネットワーク協議会にお願いしたこと。フリーソフトウェアの選考にあたって、パソコン通信ユーザー及び関係雑誌の読者による人気投票を行ったこと。表彰される作品の数を前回より絞ったことである。選考委員の方々は、各主要パソコン通信システムより推薦された方々であった。選考の対象としたフリーソフトウェア百選は基本的には前期の投票結果に基づくものであるが、一部は審査員がつけ加えたものである。
 さて、入選となったフリーソフトウェアであるが、大賞には「WTERM」が選ばれた。これは最も代表的な通信ソフトウェアであり、かつ今回の投票でも昨年の大賞受賞作品である「LHA」に次いで、最も多くの票を集めていたから、文句なしの受賞といえる。次に特別賞としては、CADという特殊分野ではあるが、その分野で非常に高く評価され、投票も多かった「JW_CAD」。また、グループによる活動ではあるが、面白いゲームを次々に開発している一連の功績に対しグループ賞として、「Bio_100%」に特別賞が決まった。
 一方、部門賞の方は、第1回の受賞作品を除いて、10作品が入選となった。これらはいずれも、非常に良く工夫され、しかも使いやすいものばかりである。この中でWindows対応のものは「秀丸エディタ」と「DDWin」、またMacintosh対応のものは「書見台」である。「air」「WSP」「HSB」などは非常に高い技術を駆使している点が評価された。「CALPET」はフリーソフトウェアでは珍しい3D表計算ソフト、また「おかみさんの家計簿」はこれも珍しい家庭用ソフトウェアである。さらにグラフィック部門では、AV関係の「Ray」および静止画像(写真)表示のための「JPGV98」が選ばれた。マルチメディア部門では「書見台」と「DDWin」は甲乙つけがたいということで両作品とも入賞となった。
 なお、以上の中で「秀丸エディタ」はシェアウェアである。FSPでは、フリーソフトウェアは「自由に流通できる」ソフトウェアと捉えており、一部では優秀なソフトウェアはシェアウェアになる傾向もあるため、シェアウェアであるかどうかの区別なく、選考を行うことにしている。
 最後に選考された13作品を眺めてみると、各分野で、非常に優秀な作品が選べたと思う。この結果に対し、選考委員各位および事務局の方々に感謝したい。
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第3回FSP(1994)総評 - 選考委員会委員長 石田晴久 -

 第3回の選考で一番気になっていたのは、大賞にどれを推すかである。今までの「LHA」や「WTERM」に匹敵するものがあるかということだが、今回は、選考委員が一致して、「JW_CAD」ということになったのは、大変喜ばしい。このソフトは、一部のCADソフトメーカーから「こんな大作が無料で配布されたのでは、商売が成り立たなくなる」とボヤキが出たほどの傑作であり、選ばれたのは当然といえる。
 次に部門賞では、いずれの分野でも定評のできたものが順当に選出された。このうちの多くは、本や雑誌の付録にも取り上げられて、数多くのユーザーに愛用されているもので、ユーザーに代わって、われわれが開発者に敬意を表するという本企画の主旨には、すべてが合っていると思う。
 その中で特筆すべきは、アプリケーション部門で、音声合成ソフトが受賞したことである。これらは、特別なハードウェアを使うことなく、どのパソコンでも、ソフトウェアのみで、かなりちゃんとしたテキスト読み上げをやってくれるのだから素晴らしい。今後のマルチメディア応用では、音声の利用が不可欠だが、この二つのソフトはその目的にも大いに役に立つ。
 特別賞では、江口さんの「チューチューマウス」と「アイコン警察」は、意表をついたアイディアあふれる作品で、ユーモラスで実用的というところに感心した。「Turbo HAMLOG」はアマチュア無線という特殊用途のソフトだが、関係者の間では高く評価されている作品で、そうしたものに日が照られるのもうれしい。最後の「MaKURO」はまだ出たばかりのものだが、チアリさんが激賞するスグレモノとして取り上げられた。
 以上総じて今回も本当に優れたソフトが選出できて、私は大満足である。
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第4回FSP(1995)総評 - 選考委員会委員長 石田晴久 -

 第4回は、各分野から13作品が選ばれた。作品のリストから、フリーソフトの世界もDOSからWindowsへ移行したことが実感できる。画像や音声といったマルチメディアに絡むソフトが多く選ばれているが、ユーザーの作るデータにより発展性のあるものが高く評価された結果である。
 また、今回から新しくインターネット関連のフリーソフトも選考対象とした。各賞受賞の3作品(「DeleGate」「K14」「LinuxJE」)は、過去、そして現在の日本のインターネットを支えてきたものである。日本のインターネットが大きな脚光を浴びる今、こういったソフトを選ぶことができてよかったと思う。
 選考で難航したのは大賞選びであった。フリーソフトウェアの世界も年々細分化、専門化しており、過去の大賞のようにグローバルなものや社会的話題性の高いものが生まれにくくなっている。多くの作品が候補としてあげられたが、以前から大賞に関しては委員全員の一致を原則にしており、最後まで1本に絞ることができず、結果は大賞なしとなった。
 名前のあがったソフトの数は今までで一番多く、どれを選ぶか、うれしい悲鳴をあげながらの選考であったが、いずれも素晴らしいソフトウェアが選出できたと思う。
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