電子ネットワーク運営における「個人情報保護に関するガイドライン」
(改訂版)

平成9年12月3日
電子ネットワーク協議会

(目的)

 本ガイドラインの目的は、国内の電子ネットワーク事業者等に対して、その事業理念や事業規模あるいはその事業形態にかかわらず、電子ネットワークの利用者の利益保護の観点から個人情報の適正な管理・保護に関する共通の方針を提示することにより、電子ネットワークという新しいメディアの健全な振興、発展を共にめざすことにある。
 従って、各電子ネットワーク事業者等におかれては、本ガイドラインを、自己の利益のみを優先することなく、電子ネットワーク利用者の個人情報保護に配慮しながら、電子ネットワークに係る事業を行う際の、指針として活用していただきたい。

(本ガイドラインにおける用語の意味)

(対象となる者)

 本ガイドラインは、電子ネットワークにおいて個人情報を取り扱う者を対象とする。以下にその対象となる者を例示する。

(ガイドライン)

  1. 個人情報の収集
     本ガイドラインの対象となる者がサービスを提供する際に行う個人情報の収集は、収集目的を明確にし、その目的に必要な限度内で収集するものとする。以下に、主な収集事例として、会員情報を収集する場合を例示する。
    • 会員情報の収集方法
       会員情報は、個人会員については本人もしくは本人より依頼を受けた代理人から収集し、法人契約に基づく会員については、本人もしくはその代理者(予め届けられた連絡窓口)から収集する。

  2. 個人情報の収集手段
     個人情報の収集は、適法かつ公正な手段により、本人の同意を得た上で行うものとする。

  3. 特定の機微な個人情報の収集の禁止
     次に掲げる種類の内容を含む個人情報については、これを収集し、利用しまたは提供してはならない。ただし、当該情報の収集、利用または提供について、本人の明確な同意がある場合、法令に特段の規定がある場合及び司法手続上必要不可欠である場合については、この限りでない。
    • 人種及び民族
    • 門地及び本籍地
    • 信教(宗教、思想及び信条)、政治的見解及び労働組合への加盟
    • 保健医療及び性生活

  4. 個人情報の利用
     個人情報の利用は、収集目的の達成に必要な範囲に限るものとする。ただし、当初の目的の範囲の利用を超えるものについて、改めて本人の同意がある場合はこの限りではない。また、本ガイドラインの対象となる者は、必要なシステム等の整備に努める。以下に、必要な範囲に限った利用についての例示をする。
    • 電子メール、電子掲示板、電子会議室等の利用について
       電子メールシステムでの個人情報の表示は、送付するために必要な最小限の送付情報とする。また、電子掲示板、電子会議室等へのシステム的に添付される個人情報は、発言の自由と責任の観点から、本人であることを確認するために必要最小限の情報にとどめる。

  5. 個人情報の提供
     個人情報の第三者への提供は、行わないものとする。ただし、以下に例示するような、本人の同意を得て行われる第三者への提供、および法的根拠に基づいて要求された場合については、この限りではない。
    • 金融機関からの問い合わせを受けた場合
       会員が取引している金融機関からの料金関係に関する問い合わせには、金額に関する照合のみ行い、それ以外の情報提供は行わない。
    • 会員規約等に基づいた場合
       個人情報の公開については、会員規約等に明示した場合を除き、公開する内容を示し、本人の了承を得るものとする。
    • 法的根拠に基づいて請求された場合
       法的根拠に基づいて請求された場合とは、原則的に捜査令状、差押令状等に基づいて捜査機関より情報提供を要求された場合であるが、人権及び個人情報の保護の必要性から、例外的に、捜査事項調査依頼書等での照会による提供に応じる場合もあり得る。
       また、公共の利益の保護に必要な場合には、法的根拠に基づいて提供に応じる場合もあり得る。

  6. 自己情報の開示
     個人の自己に関する情報開示請求があった場合には、当該請求者が本人であることを確認の上、原則として応じるものとする。また、電子ネットワーク運営者および主催者はその処置を迅速に行える体制を整備する。
    • 自己に関する情報開示請求
       個人の自己に関する情報開示請求があった場合には、会員情報の照合により本人であることを確認の上、提供する。請求者が家族等の本人が依頼した代理人の場合には、本人からの依頼による代理人と確認できた場合に限り提供に応じる。法人契約に基づく会員については、本人の了承を得た契約者(代表者)に対して、個人と同様の対処を行い、法人内の関係部門などの要求には対応しない。
    • 照合の方法
       照合の方法は、電子ネットワーク運営者または主催者側に登録してある会員情報と、請求者が申し出た会員本人でなければ知り得ない会員情報を照合することとする。
    • 開示可能な情報
       開示可能な情報は、先に大別した個人情報であるが、特に、パスワードについては、郵送あるいは、折り返しの電話等により、本人であることを確認できる形式によって返答することとする。
    • 対応窓口の設定
       電子ネットワーク運営者および主催者は、問い合わせに適切に対応するための対応窓口を設定し、広く会員に告知する。

  7. 自己情報の利用の拒否
     電子ネットワーク運営者および主催者が既に保有している個人情報について、本人から自己の情報についての利用または、第三者への提供を拒まれた場合は、電子ネットワーク運営者および主催者としての義務の履行に必要な場合を除き、これに応じるものとする。

  8. 個人情報のセキュリティ管理
     電子ネットワーク事業者等の本ガイドラインの対象となる者は、情報の漏洩等を防ぐべく、適切かつ合理的レベルの安全保護措置を講ずるものとする。また、個人情報は、その利用目的に従い、正確かつ最新のものを保つように努める。
    • アカウント情報の訂正要求
       本人から会員情報またはアカウント情報についての訂正要求があった場合には、本人であることを確認の上、迅速に対応する。ただし、アカウント情報については、金融機関等からの申し出によって変更することが出来る。
    • 業務委託
       外部に一部の業務を委託している場合には、個人情報の漏洩を防ぐべく、委託契約等に、委託業務を通じて得られた情報は、一切外部に漏らさぬことを明記するなど、守秘義務の徹底を図る。
    • 解約者の個人情報管理
       解約者の個人情報をシステム内に保管する場合には、解約前と同様に、適正な安全保護処置を講じて管理するものとする。
    • 個人の管理責任
       パスワードなどサービス利用上、本人しか知り得ない個人情報については、それを使用する個人が管理する責任を負うことを会員規約などに明記し、その趣旨の徹底を図る。

  9. 個人情報の管理者
     電子ネットワーク事業者等の本ガイドラインの対象となる者は、本ガイドラインの趣旨を理解し、実践する能力のある者を内部から選出し、個人情報の管理者として適正な業務を行わせるものとする。

(実施)

 電子ネットワーク事業者等の本ガイドラインの対象となる者は、本ガイドラインの趣旨を尊重し、内部体制の整備を図り、個人情報の保護に努めるものとする。本ガイドラインは、電子ネットワーク事業者間において周知徹底を図り、電子ネットワーク協議会において普及啓発活動およびフォローアップを推進するものとする。

以上


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