レイティングとフィルタリングに関する各国の現状
(ダイジェスト版)
1999年1月
目次
日付 |
出来事・状況 |
96年10月16日 | 欧州委員会は「インターネット上の有害および違法なコンテンツに関するコミュニケーション」と「オーディオビジュアルおよび情報サービスにおける年少者の保護と人間の尊厳に関するグリーンペーパー」を承認した。両文書では、国際協力、フィルタリングソフトおよびレイティングシステムの使用、およびISPの自主規制の促進が唱えられている。 |
98年2月 | 欧州委員会のある委員はInternet Service Provision ’98 会議において、ISPはそのネットワークを使用して利用者が違法な活動を行った場合に責任を問われないように保護されなければならないと言っている。 |
98年12月21日 | EUの評議会は「グローバルネットワーク上の違法および有害情報への対処による安全なインターネット利用の促進に関する行動計画」を承認した。同行動計画は、「業界の自主規制を通して安全な環境を生み出すこと」「フィルタリングおよびレイティングシステムを開発すること」等の4つの行動指針からなっている。 |
〜現在 |
欧州委員会では、女性と子供に対する暴力に反対する非政府機関(NGO)に対し、財政的な補助を行うためにダフネプログラム(Daphne Program)を97年から導入している。本プロジェクトにおいては特に、インターネットを違法なポルノ画像が氾濫している媒体であるととらえており、こうした脅威に対抗しようとする各種プロジェクトの参画を奨励している。 |
〜現在 |
Inhope forumは、欧州委員会のダフネプログラムの資金の下で、イギリスのChildnet International やIWFを始めとする欧米のホットライン同士の連携を促進し、ネット上のチャイルドポルノを削減することを目的とするフォーラムであり、98年2月から活動を開始している。各ホットラインは、主にチャイルドポルノ等の違法データの発信源を特定し、これを除去する活動を行っている。 |
1.2 イギリス(詳細版へ)
日付 |
出来事・状況 |
98年2月時点 | ロンドン警視庁はusenet上の違法なポルノをフィルタリングしなかったISPを起訴することを考えている。 |
98年9月28日 | イギリス政府はインターネット上の有害コンテンツから国民を保護するという従来の立場の上で、政府が主導して容易に使用できるコンテンツフィルターを開発するという提案を発表した。 |
98年10月 | Developer Adsciences社は、インターネット上のすべてのポルノをフィルタリングするソフトを99年中に発売することを発表した。同ソフトはアダルトバナーを取り除き、ポルノを載せたすべてのWebサイトを識別することができるという。 |
(98年10月時点) |
インターネット監視財団(Internet Watch Foundation)の理事長によれば、イギリスでは利用者はRSACに含まれているヌード、セックス、暴力および言語に加えて、その他のカテゴリーのコンテンツについても不安を抱いているという。 |
〜現在 |
インターネット監視財団はイギリスの自主規制団体であり、イギリス政府の支持も受けている。同財団には、違法なコンテンツに対処するためのホットラインを運営することと、合法的なコンテンツに対するレイティングおよびフィルタリングを促進することという2つの主要な役目がある。同財団はPICSに準拠したレイティングシステムの開発に参加している。 |
〜現在 |
Childnet Internationalという非営利団体は、産業界が積極的な主導権をもって子供に不適切なコンテンツを見せないようにすることを促進している。また、レイティングシステムの開発と促進に関与している。 |
1.3 ドイツ(詳細版へ)
日付 |
出来事・状況 |
95年12月 | CompuServeはニュースグループ上でチャイルドポルノや他の違法コンテンツへのアクセスを提供したことによりドイツの法律に抵触したとして警告を受けた。その後、CompuServeは会員にフィルタリングソフトを提供している。 |
96年5月 | ドイツの調査技術相は、ドイツはインターネットの規制を最小限にとどめることを望むが、ネット上のコンテンツ提供企業に対しては、違法コンテンツを自主的に取り締まることを期待する旨を述べている。 |
97年7月4日 | ドイツ議会はインターネット上のチャイルドポルノに関する標準を定めた「情報通信サービス法」を可決した。同法では、ISPはその提供するサービス上で利用者によって提示された違法コンテンツに対して一概に責任を負うものではないが、「ISPがそのようなコンテンツについて知っており、それらをブロックすることが技術的に可能であり、当然に(reasonably)期待される」場合に限り、責任を負うものとされている。 |
98年5月28日 | CompuServe Germanyの元社長は、ニュースグループ上でチャイルドポルノや他の違法コンテンツへのアクセスを提供することによってそのような情報を配布したかどで、有罪判決を受けている。 |
2.1 米国(詳細版へ)
区分 |
日付 |
出来事・状況 |
政府の動き |
97年7月16日 | クリントン大統領とゴア副大統領はインターネットを「family friendly」にするというストラテジーを発表した。このストラテジーは、子供たちがインターネット上で不適切なコンテンツにアクセスすることを防ぐためのツールを親と教師に提供し、子供たちを質の高い教育情報源へと導こうとするものである。 |
法規制および判例等 |
98年7月22日 | 「インターネット学校フィルタリング法(Internet School Filtering Act)」が上院を通過した。同法は「e-rate」のインターネット助成金を受けている学校と図書館とに、年少者が「不適切な」コンテンツにアクセスすることを防ぐためにフィルタリングソフトを使用することを要求するものである。 |
98年10月21日 | 「児童オンライン保護法(Child Online Protection Act)」が大統領により署名された。同法は、子供をネット上のポルノから遠ざけるために、クレジット番号など「大人」であることを証明する情報を入力しない利用者には一切有害なコンテンツを見せてはならないとするものである。 | |
98年11月16日 | テネシー学校委員協会の総会において、テネシー州のすべてのK-12学校が州の教育ネットワークを通したインターネットのアクセスを自主的にフィルタリングする旨が発表された。 |
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98年11月23日 | ヴァージニア州にある連邦裁判所は、ヴァージニア州のLoudoun County Public Libraryにおけるフィルタリングソフトの使用は憲法上の言論の自由に抵触するとの判決を下した。判決の理由は、フィルタリングソフトの利用が子供のみならず大人のアクセスをも制限してしまうというものであった。 |
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98年12月1日 | テキサス州議会に、州内でパソコンを販売しているコンピュータメーカーにインターネット上の猥褻なコンテンツをブロックするソフトを搭載することを要求する法案が提出された。 |
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99年1月13日 | カリフォルニア州のLivermore Public Libraryはインターネット端末にフィルタリングソフトをインストールしていないという理由で告訴されることになっている。 |
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民間部門の動き |
(97年7月時点) |
米国では全米の145以上のISPがフィルタリングソフトを利用者に無料または少額で提供している。 |
(97年7月時点) |
Acer、Apple Computer、Compaq、IBM、Packard Bellのような大手コンピュータ企業はパソコンにフィルタリングソフトを実装している。 | |
(98年10月時点) |
RSACはワシントンDCにある非営利団体であり、先導的なレイティングシステムであるRSACiを運営している。RSACiはInternet ExplorerとNetscape Navigatorに組み込まれている。 | |
97年12月9日 | EFF(Electronic Frontier Foundation)は“Draft Policy on public interest principles for online filtration, ratings, and labeling systems”という、ラベリングとフィルタリングの責任ある使用に関するガイドラインを作成している。 | |
98年10月13日 | 検索サービス会社AltaVistaはAV Family Filterという新しい検索サービスを立ち上げた。AV Family Filterは不適切なWebサイトをブロックし、有意義なサイトにはアクセスしやすいようにしている。このAV Family FilterにはSurfWatchのフィルタリング技術が使われている。 |
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98年11月12日 | Computer Software Manufaktur(CSM)は新しいインターネットスクリーニングシステムを発表した。同システムは、ネットワーク管理者がネットワーク内から端末利用者のインターネットアクセスを完全にコントロールすることを可能とする。 | |
98年11月24日 | N2H2とWebSurferは共同でインターネット上のコンテンツをフィルタリングする技術を開発した。WebSurferはインターネットTVセットトップボックスを提供し、N2H2はスタッフを用いてWebサイトをカテゴリーに分類したデータベースを作り、ポルノや暴力のような望ましくないコンテンツをブロックする技術を提供する。 |
2.2 カナダ(詳細版へ)
日付 |
出来事・状況 |
98年8月 | カナダのラジオ、テレビおよび通信委員会(Radio-television and Telecommunications Commission)は公式にカナダ国民に対し、政府がインターネット上のポルノや言語等のコンテンツを規制する役割を果たすべきか、またどのような役割を果たすべきかについての意見を求めた。 |
98年11月3日 | Net Shepherd社は98年9月30日までの四半期の収益が、6月30日までの前四半期(約98万ドル)に比べて41%増加した旨を発表した。Net Shepherdの全収益のうち、フィルタリングおよびレイティング事業による収益は61%もの割合に上った。 |
3.1 シンガポール(詳細版へ)
日付 |
出来事・状況 |
(98年11月) |
シンガポールでは各ISPに、「Family Access Network」と呼ばれるインターネットの「殺菌」版を親が選択できるように要求がなされている。この「殺菌」版では、ISPがサーバのレベルでフィルタリングソフトのインストールと更新をすることになる。 |
98年11月23日から12月20日 | シンガポールのナショナルコンピュータ評議会(National Computer Board)は、広帯域ネットワークであるSingapore ONEを奨励するために1万人の子供と大人を対象にトレーニングキャンプを行った。同キャンプでは、親たちがIT(情報テクノロジー)を子供の教育に有効に利用したり、フィルタリングソフトを使用する方法を学ぶための教育セミナーも開催された。 |
3.2 日本(詳細版へ)
日付 |
出来事・状況 |
98年12月1日 | IIJは「IIJダイアルアップEレート」というダイアルアップ接続サービスの販売を始めた。「IIJダイアルアップEレート」は、小中高等学校におけるインターネット接続を容易にするためのサービスである。オプションとして、有害なコンテンツをフィルタリングするプロキシサービスを選択することもできるという。 |
4.1 オーストラリア(詳細版へ)
日付 |
出来事・状況 |
97年7月15日 | オーストラリア政府は、Australian Broadcasting Authorityが承認し実施する行動規約によって各ISPにその利用者のネット上のコンテンツを取り締まる責任を負わせることを目標としたフレームワークを提案した。 |
97年12月 | 司法長官は、ISPの利用者が発信するネット上のコンテンツに対してISPに法的な責任を負わせるという法案の下では、利用者とISPの両者に刑罰が適用されることを確認した。 |
98年7月 | 情報経済のための内閣評議会(Ministerial Council For The Information Economy)が発表したレポートの中で、オーストラリア政府はコンテンツのラべリングとフィルタリングの世界標準を設立するために、国際的なコラボレーションを追求する旨が述べられている。 |
98年11月30日 | オーストラリアと米国は、電子商取引に関する共同声明を発表している。同声明において両国が、ネット上のコンテンツに関しては、業界の自主規制を支持し、子供にとって不適切なコンテンツに関する教育と、コンテンツをフィルタリングするシステムの促進を支援する旨が述べられている。 |
98年12月21日 | ブリスベンのClairview Internet社はインターネット上のポルノをフィルタリングするCVueというソフトを発売した。CVueはサイトへのアクセスをサーバ上でブロックする。Clairviewの最高経営責任者は家庭でダウンロードされるコンテンツ量の約70%はポルノだと言っている。 |
4.2 ニュージーランド(詳細版へ)
日付 |
出来事・状況 |
(98年10月時点) |
ニュージーランドのローソサエティ(Law Society)はISPに対する行動規約を準備中であり、同規約にはポルノ画像のフィルタリングも含まれることになっている。 |
日付 |
出来事・状況 |
98年3月25日 | インターネットコンテンツの自主規制に関するフォーラムがOECD とOECDの諮問委員会であるBIAC(Business and Industry Advisory Committee)の後援でパリにおいて開催された。同フォーラムでは、不適切または違法なコンテンツ、個人情報の保護、検閲、スパムメールおよび著作権の自主規制に関して議論がなされた。 |
98年10月7日 | OECDの電子商取引会議初日に、ドイツの電子商取引フォーラム(Electronic Commerce Forum)、イギリスのインターネット監視財団(Internet Watch Foundation)および米国のRSACの3組織がインターネットコンテンツレイティングアライアンス(ICRA)を結成する協定にサインした。ICRAは、共同で非営利目的の国際的なセルフレイティングシステムを開発することを目的としている。ICRAは99年末までに新しいレイティングシステムを利用可能にしようとしている。 |
98年10月7日から9日 | OECDの電子商取引会議では、インターネット上のコンテンツを査定する最良の方法がWebサイトによるセルフレイティングであるのか、それともコミュニティによるサードパーティーレイティングであるのかという論争が持ち上がった。 |
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