フィルタリング技術の現状と課題

  

清水 昇

(shimizu@nmda.or.jp)

(財)ニューメディア開発協会/電子ネットワーク協議会

  

     倫理ガイドラインの作成
        ガイドライン作成までの経緯
        発表時の記者からの質問
        倫理綱領に対する抗議例
        発表後の反響に対する感想

     フィルタリング機能普及の検討
        倫理問題に関する国際ニュース
        PICS:問題解決への技術的努力
        従来方式によるコンテンツ選択
        PICS方式によるコンテンツ選択
        レーティング基準例−RSACi
        フィルタリングシステムの開発
        全体システム機能関連図
        フィルタリング機能関連図
        教育現場に対する選択肢の提供
        フィルタリング技術の課題


  

ガイドライン作成までの経緯

 

平成5年度:
  パソコン通信における個人情報保護のガイドラインを作成

平成6年度:
  倫理ガイドライン作成を目標に、事例研究を実施

平成7年度:
  電子ネットワーク運営における倫理綱領、パソコン 通信
  サービスを利用する方へのルール&マナー集を発表


 

発表時の記者からの質問

  ■抽象論で効果があるのか

  ■当たり前のことしか書いてない

  ■強制力はあるのか


 

倫理綱領に対する抗議例

  ■ユーザの情報内容に踏み込んだ規制である

  ■適用に歯止めがない

  ■ユーザの通信の秘密を遵守できない

  ■検閲の恐れがある

  ■ユーザの発言権への保証がない

  ■多様な価値観への配慮がない

  ■倫理綱領は一方的な押しつけでしかない


 

発表後の反響に対する感想

  ■企業/団体のネット管理者は高い評価

  ■ネット管理/運営者と利用者との立場の違い

  ■グローバルルールとローカルルールの関係


 

倫理問題に関する国際ニュース

 

■ネット上の猥褻情報に関する規制が、米国議会で昨年1年がかりで審議さ れ、通信改革法の中に組込まれて、昨年2月に成立した。

■上記の中で下品という用語は、憲法修正第1条(言論の自由)違反である として、市民団体がフィラデルフィア連邦地裁に提訴。昨年6月に違憲判決。最高裁 審理が、3月19日に開始され、6月末に結審し、違憲が確定した。

■昨年4月にEUにおいて、仏からインターネット上の倫理問題についての 国際協定が提案された。仏は既に法制化、独は法制化予定、英は自主規制。


 

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日本人向けの情報発信例(海外)


 

PICS:問題解決への技術的努力

 

W3Cは一昨年の夏から、インターネットアクセスをコントロールするPICS(P latform for Internet Content Selection)の開発を進めている。

コンテンツプロバイダ自身が、自発的にラベル付けできる。複数の第3者に よって付加的なラベル付けが行われ、レーティングサービスすることもできる。

サーバソフトとしてはJigsaw、クライアントソフトとしてはInernetExplorer 3.0、レーティングサービスとしては、RSACiやSafeSurfがある。

W3Cとしては、問題情報のフィルタリングだけでなく、DBや検索サービス と組み合わせた情報サービスへの応用を期待している。


 

従来方式によるコンテンツ選択


 

PICS方式によるコンテンツ選択


 

 レーティング基準例−RSACi

  ■暴力           ■ヌード
   0 すべての暴力を制限   0 なし
   1 闘争          1 露出的な服装
   2 殺害          2 部分的なヌード
   3 流血を伴う殺人     3 全裸
   4 残忍で過激な暴力    4 刺激的な全裸

  ■セックス         ■言葉
   0 なし          0 不快感を与えない俗語
   1 情熱的キス       1 穏やかな悪口
   2 着衣のままの性的接触  2 悪口
   3 性的接触の不鮮明な描写 3 性的なジェスチャ
   4 性行為の鮮明な描写   4 不快を与える露骨表現

    RSACiはセルフレーティング向き、Safe Surfは両親向き、
   Net Shepherdは汎用レーティングビューロと捉えられる。


 SafetyOnlineのレイティング基準

ヌード

セックス

0 なし

0 なし

1 露出的な服装     

1 セクシャルなキス

2 部分的なヌード

2 着衣のままの性的接触

3 全裸

3 性行為らしき描写 

4 性器の強調

4 性行為

     暴力     

言葉

0 なし  

0 不快感を与えない言葉

1 争い

1 穏やかな悪口

2 殺傷

2 悪口

3 殺人

3 わいせつ表現

4 残虐

4 誹謗中傷

その他

0 なし  

1 要注意

2 公序良俗に反する

3 違法

4 反社会的


   

PICS準拠クライアントソフトにより
利用可能なラベルビューロ

 

     EvaluWeb

       GV   : General Viewing
       PA13  : Parental Advisory
       XC   : Explicit Content

     NetShepherd

       ■品質
           無印
           ★
           ★★
           ★★★
           ★★★★
           ★★★★★
       ■成熟度
           無印
           General
           Child
           Pre-teen
           Teen
           Adult
           Objectional



 

インターネットにおけるフィルタリング
システムの開発

 

   教育向け、企業向けレーティング基準作成

   Windows及びMacintosh用フィルタリングソフト開発

      Windows95版は97年9月16日から公開中

      Macintosh版は97年10月中旬から公開予定

   UNIX用ラベルビューロソフト開発

      97年9月16日から運用中

   ソフト開発は今年秋までに終え、無償配布



 

  全体システム機能関連図

 


 

 フィルタリング機能関連図

 


 

教育現場に対する選択肢の提供

 

   選択肢1:アクセス管理はしない

   選択肢2:ブラックリストに基づくアクセス管理

   選択肢3:ホワイトリストに基づくアクセス管理

 

   インターネット/パソコン通信をも対象とする福岡県
   青少年健全育成条例が平成9年7月1日から施行される。



 

フィルタリング技術の課題

 

 

   OS/ブラウザ統合化の中で生き残れるか

   レーティングデータベースの適性規模は

      97年9月末現在、約11,000件

   レーティング基準の包括化/マッピング方式

   セルフレイティングの普及は

 


セルフレイティングの方法

 

 

   オーサリングツールを使ってセルフレイティングを行う。

   ホームページにMETAタグを追加してセルフレイティングを行う。

    セルフレイティングされたホームページのHTML記述(例)