一般財団法人ニューメディア開発協会(以下「協会」という)では、公益財団法人JKAの自転車等機械工業振興補助事業の補助金を受け、平成25年度事業として「プライバシーに配慮し安全・安心に資する監視カメラシステムの開発評価」を行うことになりました。ついては、以下の要領にて、本事業に係る実証試験装置プログラム開発事業者および実証実験作業事業者を公募致します。
近年、監視カメラ(防犯カメラ)(注1)が街のいたるところに設置されるようになってきている。監視カメラが犯人捜査や犯罪の抑止など、安全・安心面の効果があるということについては一定の理解が得られているものの、その一方では自身の姿や行動が意識しないところで撮影・保管され、その映像が第三者に見られてしまう可能性があり、それがプライバシー侵害の問題となりえることが指摘されている(注2)。
この問題の一つの解決策として、監視カメラで撮影された映像(記録・保管されている映像)が、ある権限を持った人(犯人捜査を担当している人等)だけにしか、また保管されている映像中の必要なフレーム(注3)だけ、例えば捜査対象者や被害者等の捜査のために必要な人が写っているフレームだけしか閲覧できない監視カメラシステムを開発することで、先のプライバシー侵害に対する問題が一定度合い解消されると想定した。
本事業は監視カメラで撮影した映像をフレーム毎に暗号化処理し、その暗号を解く鍵に映像に写っている人物の顔特徴情報を用いることで、暗号化され蓄積されている映像情報の中から、ある人物(捜査対象となっている人物等)の顔特徴データに合致する人物が写っているフレームだけを閲覧することができる監視カメラシステムを開発する。その実証試験により、期待される運用が行えるかの評価、および監視カメラに写される側の人にとってプライバシー保護に対する理解が得られるかどうかの評価を行うものである。
(注1)「監視カメラ」と「防犯カメラ」の違いとして、監視カメラでは録画機能は必須ではないが、防犯カメラでは必須とするという区分もあるが、本事業で扱う監視カメラは録画機能付きのものとしている。
(注2)「監視カメラとプライバシー」西原 博史(成文堂、2009年)
「防犯カメラの規制」末井 誠史(レファレンス 2010年7月)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/pdf/071401.pdf
など
(注3)動画を構成する静止画1枚分(1コマ)のこと。
本事業は、監視カメラによるプライバシー侵害の問題を、ア)捜査等のために必要な映像部分(フレーム)しか見られないようにした「プライバシーに配慮した監視カメラシステム」の実証試験装置を開発する、イ)開発した「プライバシーに配慮した監視カメラシステム」の実証試験装置により実証試験を行う、ウ)アンケートにより監視カメラによるプライバシー侵害の問題に関し、広く一般の人の意識を調査する、ことからなる。ただし、ウ)のアンケート調査は当協会より別途発注するため、本公募の範囲には含めない。
(ア)「プライバシーに配慮した監視カメラシステム」の実証試験装置開発
以下を実現する実証試験装置のプログラムを開発する。装置に必要なハードウェア製品および汎用ソフトウェア製品は応募社において適切なものを採用すること。
@監視カメラ(ビデオカメラ)が撮影した映像に人物が写っている時、その人物の顔特徴情報を抽出する。
A監視カメラ(ビデオカメラ)が撮影した映像情報をフレーム毎に暗号化処理する。その暗号を解く鍵としては@で抽出した顔特徴情報を使う。
(人物が写っていないフレーム、もしくは人物が写っていても顔特徴情報が抽出できなかったフレームは別に定めた暗号鍵で暗号化することとする)
B上記Aにて暗号化処理された映像情報を記録装置に順次保管する。
C別途用意されたある人物の顔特徴情報から、その顔特徴情報を持つ人物(正確には用意された顔特徴情報に類似した顔特徴情報を持つ人物)
が保管されている映像情報の中に存在すれば、その人物が写っているフレームの暗号を解くことができ、そのフレームを閲覧できる。
D同様に、用意された顔特徴情報が保管されている映像情報に存在していない人物のものである場合は、暗号が解かれず映像(フレーム)を閲覧することができない。
Eただし、CおよびDは顔特徴情報の抽出精度や二つの顔特徴情報から同一人物であるかどうかを判別する方式および判別の閾値とも係っているため、一定の誤り、すなわち用意された顔特徴情報の人物が
保管された映像情報中に存在するにも係らず暗号が解かれないケースや、別の人物が写っているフレームの暗号を解いてしまうケースも発生すると想定している。その発生率は実証試験で評価する。
(イ)「プライバシーに配慮した監視カメラシステム」の実証試験装置による実証実験
上記ア)にて開発された実証試験装置を用いて、以下の確認・評価を行う。
@ビデオカメラで撮影した映像情報をリアルタイムに暗号化し記録装置に保管できる
A別途用意されたある人物の顔写真もしくは映像を元に、その人物の映像が保管されている映像情報の中に存在する場合、その個所(フレーム)を閲覧することができ、保管されている映像情報の中に存在しない場合は閲覧することができない。
Bただし、前記Aは ア)実証試験装置開発の要件に記載したとおり、一定の誤りが存在すると想定している。実環境を考慮した条件で、他人を対象者と間違えてしまう率、対象者を他人と間違えてしまう率のそれぞれを、
複数の被験者に対し、かつ(本人判定のための)閾値を変えて測定し評価する。
C上記A、Bの実験を通して、被験者に本実証試験装置による仕組みで監視カメラによるプライバシー侵害の印象が変化するかどうかの意見を聞き、被験者の観点からの評価を行う。
(ウ)アンケート調査(本公募の対象外であるが参考として記載)
広く一般の人を対象に、監視カメラによるプライバシー侵害に関する意識を聞くと共に、本実証試験装置のような仕組みで監視している場合、プライバシー侵害の印象が変化するかどうかの意見を収集する。
平成25年6月7日(金)〜平成25年6月14日(金) 17時必着まで
次に示す申請書類を提出してください。
〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町3番2号 リブラビル
一般財団法人ニューメディア開発協会 新情報技術企画グループ 長澤宛
一般財団法人ニューメディア開発協会 新情報技術企画グループ
担当 長澤
tel03-6892-5032 fax03-6892-5029
この事業は競輪の補助金を受けて実施するものです。