報道資料 |
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財団法人ニューメディア開発協会(会長:亀井正夫)は、通商産業省が情報処理振興事業協会を通じて財団法人日本情報処理開発協会に委託して実施した平成10年度補正予算事業「産業・社会情報化基盤整備事業」の一環として、「新世代ICカード共通システム」の技術開発を行なってきたが、ISO/IEC14443準拠の高機能非接触ICカードの開発に成功したので公表すると共に、本日から明日まで東京全日空ホテルで開催される「産業・社会情報化基盤整備事業」成果発表会において展示する。
1.高機能非接触ICカードの特長
本ICカードは、リーダ/ライタとの距離が数ミリメートル離して使用することができる近接型と呼ばれる非接触ICカードである。非接触ICカードは、接触型(接点つき)ICカードと比べて、電気的接触に起因する障害がないので信頼性が高いという利点を有するが、従来の非接触ICカードでは、IC(集積回路)の情報処理機能が低いことから、電子政府における公印カードや住民カードのような公的分野の情報化において必要とされる電子署名などの機能を搭載することが困難であった。
今回、ICの低消費電力化や電力供給効率化などの工夫を行った、非対称鍵暗号方式をサポートするコプロセッサ搭載の32ビットCPU内蔵のICカードと、コプロセッサ搭載の16ビットCPU内蔵のICカードの実現により、電子署名をカード内で可能にすると共に、これら2種類の非接触カードを重ねて、リーダ/ライタとの間で読み書きが可能であることを確認した。このように異なる非接触ICカードの同時利用により、例えば1枚目は認証用、2枚目は決済用のように、用途の異なるICカードを組み合わせた新しいアプリケーションを実現することが可能になる。このような利用形態は、接触型ICカードでは2口リーダ/ライタを使わない限り不可能である。
2.新世代ICカード及びICカードシステム
ICカードを公的分野の情報化におけるインフラストラクチャとして捉えることができるようにするためには、種々のICカードやICカードシステムの相互運用性を実現することが必要である。本ICカードは、そのような要件を満たすために、ISO(国際標準化機構)における最新の標準化動向を踏まえた共通コマンドライブラリや、Javaプログラムなどのダウンロードにより機能拡張を実現するためのカードマネージャなどから構成されるカードプラットフォームを搭載している。当協会では、上記の高機能非接触ICカード上にカードプラットフォームを搭載したICカードを、新世代ICカードと呼んでいる。
さらに、ICカードシステムとして動作させる際に必要となるカード発行管理、サービス提供管理、セキュリティ管理、インタフェース互換コンポーネントなどの、カードプラットフォームに対応したソフトウェアを端末側に用意しており、新世代ICカードと端末側ソフトウェアと合わせたシステムを新世代ICカードシステムと呼んでいる。
3.開発体制及び技術開示
当協会内の新世代ICカード共通システム開発委員会(委員長:大山永昭東京工業大学教授)の下で、国内の多数のICカード関係企業の参画により仕様を作成し、ハードウェア/ソフトウェア開発を分担して実施した。仕様作成及び開発に参画した企業名は以下の通り。NTTデータ、松下電器産業、東芝、デンソー、日本電気、凸版印刷、大日本印刷、共同印刷、日立製作所、リコー、NTTコミュニケーションズ(NTT)。
技術開発成果のうち、共通コマンド仕様書、カードプラットフォーム仕様書、近接型通信インタフェース実装規約及び、カードプラットフォーム参照実装のソースコードを開示予定である。
4.問い合わせ・連絡先