報道資料

平成10年12月11日
財団法人ニューメディア開発協会

 

我が国初の「XML文書対応インターネット電子申請システム」を開発
=申請・届出等の電子化における共通課題解決のために=

 

 財団法人ニューメディア開発協会(会長:亀井正夫)は、通商産業省からの出資を受けて情報処理振興事業協会が実施する平成8年度補正予算「特定プログラム高度利用等事業」の一環として、我が国初の「XML文書対応インターネット電子申請システム」の開発を行い、通商産業省における申請業務を対象とした実証を次週から開始する。

 開発した電子申請システムは、「電子化に対応した申請・届出等手続きの見直し指針」(平成9年7月18日 情報システム各省庁連絡会議)の中で、共通的課題として挙げられている(1)本人確認、セキュリティの確保、(2)手数料の納付方法、(3)行政情報システム間のデータ交換の効率化、円滑化に資するためのデータコード、申請・届出方式の標準化、通信規約・手順等の統一的採用に対応するものである。

本電子申請システムでは、当協会内に国内主要システムハウス7社(日本電気、三菱電機、日本IBM、富士通、東芝、日本ユニシス、日立製作所)のエキスパートから構成される作業部会を設け、実装規約を統一することによって申請・届出等の電子化における基盤の共通化を実現した。今後は、開発成果である「イントラネット間セキュア通信プロトコル」、「XML申請文書」、「申請手数料支払証明技術」に関する実装規約を公開し、広く普及拡大を目指す。

 

1.電子申請システム開発の目的

 インターネットを利用した企業間の取引や企業同士の連携・協力が進展しつつある。行政側においても、国民や企業との間の様々な行政手続きにおいて、申請・届出等の電子化を業務内容に即して推進することへの取組みが求められている。しかしながら、申請・届出等の電子化を実現し、申請者の負担軽減や行政側審査の効率化・迅速化を早期実現するためには、前述の共通的課題解決に即した技術開発、すなわち、共通して必要とされる技術要素を開発し、各省庁における申請・届出等の電子化における基盤を確立することが鍵になる。

そこで、申請書を電子化しインターネットを使って送信する「オンライン申請」における共通的課題、たとえば、本人確認方法、インターネットを利用して送信する際の盗聴や改竄の防止、手数料の支払方法などの解決のための技術、オンライン申請の雛形となる技術のような、申請・届出等の電子化を導入促進するために共通して必要とされる技術要素の開発を行うと共に、申請文書提出者である申請者(民間)用クライアントシステム及び受付窓口となる行政機関(官)用サーバシステムを開発した。

 

2.電子申請システムの主要機能

 電子申請文書は、構造化文書(様式化された文書のこと)かつ署名(申請者の社印に相当)を必要とする原本性文書であり、真正性の確認や証拠性の確保が必要となる。また、申請者の負担軽減、および申請受付業務の効率化、迅速化の観点から、申請書内データと行政側の審査システムとのデータ連携、審査途中における申請側と行政側との様々なやりとりについても効率化を図ることが重要となる。

 申請者(民間)用クライアントシステムでは、XML化した電子申請文書にHTMLファイル、PDFファイルなどを添付する文書作成支援、申請手数料(電子印紙に相当)の支払証明、申請文書に原本性を持たせる責任者デジタル署名(社印に相当)などの機能を提供する。また、複数の文書から構成される申請文書一式のメタ情報を記述するRDFファイル機能、繰り返し行う申請手続きや大量データの添付に対応するデータ連携機能も提供する。

 一方、行政機関(官)用サーバシステムでは、受け付けた電子申請文書の原本性(責任者デジタル署名)の確認、申請手数料の支払証明確認、添付文書の過不足を確認する形式審査機能、受付番号を申請者に通知する機能を提供する。さらに、形式審査を行った文書について、内容審査を行う審査システムとのデータ連携機能、申請内容にコメントを記入し申請者に通知する付箋(ふせん)通知機能、審査完了を通知する機能、申請文書の原本性保証保存機能などを提供する。 原本性保証保存機能は、原本性保証電子保存装置によって実現されている。

今回開発した電子申請システムは、インターネットを利用するため、従来よりもセキュリティを向上させた「イントラネット間セキュア通信プロトコル」を新たに開発し、採用している。通信プロトコルとして、HTTPの他にSMTPも選択できるようにした。「イントラネット間セキュア通信プロトコル」は、インターネットを利用するため、高度なセキュリティを保証すると同時に、申請者および行政機関の双方のイントラネット内で、電子化した申請文書のウイルスチェック・圧縮/解凍を行い、セキュアな形式で送受信する方式を採用している。また、申請者の文書が正常に行政機関に到達したことを確認する機能も有している。

 

3.実証試験の対象および内容

 実際の申請・届出等業務へ適応できることを確認するため、通商産業省の申請・届出手続きの中からモデル申請業務を選択し、XML文書対応のWWW(HTTP)による電子申請を実証する。実証では、業務形態に応じ、電子申請システムの環境・導入の容易性、処理能力、確実性、操作性について検証する。

■実証試験内容
 通商産業省機械情報産業局情報処理システム開発課が所管し、租税特別措置法に規定する政令で定めるデータベース準備金制度申請手続きにおいて、開発を行ったXML文書対応インターネット電子申請システムの実証試験を行う。本実証試験では、申請時に必要な認定申請書(様式文書、付属説明資料等)を、インタ−ネット経由で、XML文書によるWWW(HTTP)対応の電子申請システムを使用することにより、申請者が容易にかつ確実に申請手続きができる環境を構築し、検証を行う。

■実証試験主体
 
(財)データベース振興センター  (財)ニューメディア開発協会

■協力機関
 通商産業省機械情報産業局情報処理システム開発課

■申請者
 データベース準備金制度申請企業
6社

■試験開始日
 平成10年12月14日から

 

問い合わせ・連絡先     〒108-0073 東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル23F
                (財)ニューメディア開発協会開発本部
                   担当 内山、中出、足立
                   Tel   03-3457-0671
                   Fax  03-3451-9604
                   E-mail press@nmda.or.jp


用語解説

1.XML
 XMLは、W3C( World Wide Web Consortium)において制定された、電子文書の記述等の標準として採用されているSGMLのサブセットとして位置づけられる記述言語で、eXtensible Markup Languageの略。HTMLのリンク機能などを拡張し、SGMLをインターネット向けに最適化するなど、HTMLとSGMLの長所を併せ持つ。XMLは、将来の行政情報化の中で広く採用されていくものと期待されている。

2.RDF
 RDFは、W3Cにおいて制定された、メタ記述により文書間を関連付けるXMLによる記述のフレームワークであり、Resource Description Frameworkの略。

3.HTML
 Hyper Text Makeup Languageの略。インターネットのホームページなどのハイパーテキスト文書を記述するための言語のこと。HTMLでは、テキストファイルにタグと呼ばれる記号を埋め込み、見出しや本文などの文書の構造とスタイルを表現する。他の文書やグラフィックスへの関連づけもタグを埋め込むことで表すことができる。

4.HTTP
 Hypertext Transport Protocolの略。WWWサーバとWWWクライアントとの間で、HTML文書を表示したり情報を入力するなどの手順。

5.SMTP
 Simple Mail Transfer Protocolの略。電子メールを送受信するために、クライアントからサーバに電子メールを転送する際や、サーバ間で電子メールを転送する際の手順。

6.PDF
 Portable Document Formatの略。レイアウトされた文書をネットワークで配信するためのデータ形式で、米国のアドビシステムズ社が開発した。ワープロやDTPソフトで作成された文書を、レイアウトイメージのまま保存するので、HTMLファイルに比べ、レイアウトの再現性が高い。

7.原本性保証電子保存装置
 当協会によって昨年度開発された、原本性保証電子保存システムをベースとしている。紙による保存と等価な「保存性」、「一覧性」、「証拠性」等を有する電子保存装置。公的文書の保存に用いられるのみならず、民間企業などにおいて会計帳簿の電子保存を実施するための要件を満足すると考えられる装置である。

以上


 

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