APADIC 情報化未来都市推進協議会の活動報告


●「平成13年度の活動方針を決定」

 当協議会は、6月6日(水)15時より経団連会館にて、平成13年度総会を開催した。
 専務理事の鈴木健が主催者を代表し、次の開会挨拶を行った。
 専務理事はまず、当協議会が今年で早や設立14年目となる事を述べ、情報化未来都市構想が推進されてきた経緯を紹介するとともに、会員・協賛自治体の熱心な活動に対し感謝の言葉を述べた。続いて、平成9年度から協議会が力を入れて重点的に実施している広域都市交流・連携に関する取り組み状況について述べ、研究会を実施した地域は計6地域となった事、平成12年度には前年に続いて「首都機能移転候補地域那須地域研究会」と、つくば市、土浦市など茨城県南の5市7町1村を対象とした「茨城県南広域都市圏研究会」を実施した事、更に都市型広域連携のあり方をテーマとし西宮市、尼崎市など兵庫県南の7市1町をモデル地域に選定して、「阪神広域都市圏研究会」を新規に実施した事を報告した。
 続いて、今後の活動として、地域間連携の必要性及び重要性が高まっていることを受け、引き続き広域都市交流・連携の研究会を新規の地域で実施するとともに、新しい試みとして都市再生による産業創出をテーマとした研究会も実施し、時代を先取りした都市構想とその実現のための方策を提言していく意向を明らかにした。また、こうした調査研究活動に加え、国内交流活動、普及広報活動等も積極的に展開したいとの意向も表明した。

 続いて、経済産業省商務情報産業局情報プロジェクト室長長谷川英一氏より来賓の御挨拶を受けた。長谷川氏はまず、これまでの14年間の協議会活動を高く評価するとともに、機構改革が進み、組織や部署の名称が変わったが、経済産業省は地域の情報化について今後も引き続き支援して行く方針である事を表明された。また、昨年の7月以降ITに関わる国の取り組みは大きく変わってきており、IT戦略本部、戦略会議ができ、たった半年の間にIT基本法が制定され、更にe-japan構想という形で国家戦略になってきている実情について述べられた。こうした動きの中で、経済産業省は昨年の補正予算でICカードの普及によるIT装備都市推進構想を進めており、既に21箇所の地域の指定を終え、それらの地域に供給するICカードやカードリーダーなどの開発標準化等を進めていることを紹介された。また、新内閣は2005年までのe-japan計画を進める中で、その前倒しとして来年度のワールドカップサッカー開催の年には日本のIT都市のありかたを示す構想等を練っている事、総務省は2003年には電子政府を実現して中央政府のみならず地方自治体の全てが電子化していくという計画を掲げており、住民基本台帳ネットワーク、それに基づくICカードは2003年の8月から住民に配られるという段階に来ている事なども紹介され、このようにして地方自治体の電子化は既に未来の話ではなくなって来ていると述べられた。
 ところで構想・計画が出来てもそれを誰が動かして行くかが課題である。そのためこうした協議会、産業界が実際に地域に足を運び、インプリメンテーションまで持って行けるのか、それにはどのような仕掛けがいるのか等を地道に検討してくれていることは大変ありがたい。計画ができても絵に描いた餅では仕方がない。その意味からも協議会活動の意味合いは重要で大きい。これからも引き続き地域に密着した計画を進めて欲しい、と期待を表明された。

 続いて鈴木専務理事が議長を務め議案の審議が行われた。議案として第1号議案「平成12年度事業報告及び収支決算(案)」、第2号議案「平成13年度事業計画及び収支計画(案)」、第3号議案「役員の一部変更(案)」が上程され、各議案とも異議なく承認された。
そのうち平成13年度の事業計画では、今年度の活動方針と国内交流活動、普及・広報活動、調査研究活動の内容が説明された。調査研究活動では、「広域都市交流・連携に関する研究会活動として新たに2都市を選定して取り組むこと」と、新たな試みとして「都市再生による産業創出をテーマにした研究会をモデル地域を1地域選定し、テーマ別研究会として実施すること」となっている。
 収支計画においては、収入予算は会費収入2750万円と前年度繰越金を含めて4342万円を計上している。これに対し支出予算は3470万円を計上している。

●「21世紀型都市計画」講演会

 引き続き16時より、早稲田大学理工学部教授伊藤滋氏を講師として「21世紀型都市計画」と題とする講演会を開催した。

 伊藤教授は国土および都市計画分野の権威として、長年に亘って学会のみならず実際の都市計画も指導され、幅広い活動をされて来ている。この講演において、21世紀の都市計画では既成概念にとらわれない理念を取り入れていくことが重要であり、それには市民の視点を欠かすことはできず、自治体主導の計画づくりから市民の声を反映した計画づくりへと移行していくことが重要であると話された。少子高齢化社会の到来を踏まえ、今後は提供側である開発者においても市民のニーズに対応し、地域の力を結集した都市計画を行っていく視点を持つことが重要であることを、身近な事例を示されながらわかりやすく述べられた。(会報別冊講演録参照)

 

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