APADIC 情報化未来都市推進協議会の活動報告

◆北九州市視察会を開催しました◆

 当協議会は10月4日(木)と5日(金)の2日間に亘り、北九州市視察会を開催した。北九州市は本年7月から11月にかけて、「北九州博覧祭」を開催中であること、また当協議会は平成5年度から6年度にかけて「北九州市情報化未来都市研究会」を実施して同市にいろいろ提案を行っていること、このような経緯を踏まえ今回の視察会を開催した。
 当日は2日間とも晴天に恵まれ、遠路東京地区からも大勢の会員各位が出張し計33名の参加となった。
 初日の10月4日はJR小倉駅北側のAIMビル6階の北九州テレワークセンター会議室に集合し、当協議会の鈴木専務理事が主催者代表で挨拶を行い視察会を開会した。

●「北九州テレワークセンター」を視察
 本センターは、情報通信産業の振興や中小・ベンチャー企業の育成を目指し、テレワークを行う為の都市型共同利用オフィスとして北九州市が整備したもので、平成12年4月に開所している。市民に対してはインターネットなどの通信基盤を活用した情報通信利用の場を提供するとともに、企業などには事業展開、研究開発の拠点として利用されることを目的としているセンターである。テレワークのための都市型共同利用オフィスであり、立地場所も駅から非常に近く、多くの人が利用しやすい様に配慮して作られている。

●「通信・放送機構(TAO)北九州情報通信研究開発支援センター」を視察

 本センターはAIMビル7階にある。「大容量異種ネットワークの統合化研究開発」を基本テーマとしており、超高速マルチメディア社会に対応する最新の設備機器の導入による大学、企業、研究機関等の研究開発の支援、ギガビットネットワークのATM交換機を設置し、このネットワークを利用した研究開発、常駐研究指導員による具体的な技術支援、などを主な目的とする共同利用型研究開発センターである。
 最新機器が数多く設置され、最先端でかつ特色のある様々な研究開発が行われている。
 続いて貸切りバスで、若松区ひびきの地区の整備途上にある学術研究拠点に向かった。

●「北九州学術研究都市」を視察(図1)
 北九州市の4大プロジェクトの一つとして、平成8年度から北九州学術研究都市整備事業が始められ、大学や研究機関などを誘致し、市が近代産業の成長過程で蓄積した技術を生かして、アジアにおける学術研究の拠点として産業の高度化に寄与し、21世紀における創造的な産業都市として再生することを目指している。周辺の自然環境や都市環境を活かしながら、先端科学技術に関する教育・研究機関の集積や良好な住宅宅地の供給を図り、複合的なまちづくりを行うことを開発整備の基本方針としている。開発整備地域は若松区西部と八幡西区北西部に跨る335haもの広大な規模であり、現在はその第1期事業として121haの地域の整備が進められている。
 アジアの中核的な学術研究拠点を目指し、日本で初めての試みとして国・公・私立大学を同一のキャンパスに集積を図っている。

図1 「北九州学術研究都市」

 2日目の10月5日は、JR八幡駅近くの(財)九州ヒューマンメディア創造センターの多目的ホールに集合して視察会を開始した。

●「(財)九州ヒューマンメディア創造センター」を視察
 本財団は北九州市および九州の広域的な産学官の支援のもとに設立され、九州地域の産業振興と豊な地域社会の実現に向けて、マルチメディア・情報関連技術を活用した製造業の高度化・多用化、新たな産業創出を目指している。昨年11月にはその中核施設として八幡東田に本センターが完成し、情報関連技術に関する研究開発や企業の育成支援などの事業を行っている。
 7階建てのビルには、研究開発を行う企業への貸室、ベンチャー・中小企業への研究開発用インキュベートルーム、多目的に利用できるホールなどが配置されている。

●「八幡東田総合開発事業」地区を視察(図2)

 1901年に官営八幡製鐵所の第1号高炉に火が入り、以来この八幡東田地区は20世紀の日本近代産業を先導する役割を担って来ている。しかし高炉の操業停止、厚板工場の閉鎖など事業縮小が次々と行われ、火が消えた製鐵所の跡地をどう再開発してまちを蘇らすかが大きな課題となった。再開発の第1弾となったのがテーマパーク事業で、新日鐵を中心に北九州市も出資して設立した「スペースワールド」である。この事業に続いて、新日鐵は北九州市やJR九州、西鉄などの企業とパートナーシップを組み、平成6年度に土地区画整理組合を設立して八幡東田地区108haの再開発事業を始め、鉄に替わる新産業を育て、地域に活力を呼び込んで21世紀をリードする産業・文化・生活が融合した「新創造都市拠点」作りを進めて来ている。7つのゾーンに分けて開発事業が進められており、開発は2002年から本格化する。今開催されている「北九州博覧祭2001」会場は開発計画の「タウンセンターゾーン」・「アーバンレジデンスゾーン」に当たる。
 本地域を貸切バスで視察した後、「北九州博覧祭2001」会場に向かった。

図2 「八幡東田総合開発事業」地区

●「北九州博覧祭2001」会場を視察(写真1)
 本博覧祭は、日本の近代産業を支える地として発展してきた北九州市の100年の歩みを振り返り、21世紀型の新しい都市づくりに寄せる熱意や技術を披露する全市をあげた晴れの一大ステージとして、本年の7月4日から11月4日までの4ヶ月に亘って開催されている。21世紀の新しい都市への誕生祭である。会場は6つのゾーンで構成され、官民合わせて約200団体が40数個のパビリオンを開設しており、なかなか壮観であった。
 この他会期中には、各種のステージやイべントも開催され博覧祭を盛り上げている。モノづくりをテーマとしたパビリオン「モノづくりメタルカラー館」を視察後、参加者各位が会場を自由視察することにして視察会を解散した。
 北九州市をはじめとするこの地域の都市づくりと産業振興の実情を知ることができ、大変実りの多い視察会であった。視察会の実施に当たり、いろいろと御協力頂いた北九州市および関連機関、新日本製鐵(株)の関係者の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。



写真1 「北九州博覧祭2001」会場


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