報道資料

平成9年9月11日
財団法人ニューメディア開発協会

我が国初の「電子公証システム」の実証実験を開始
=エレクトロニック・コマース基盤確立のために=

 財団法人ニューメディア開発協会(会長:亀井正夫)は、通商産業省からの出資を受けて情報処理振興事業協会が推進する「エレクトロニック・コマース推進事業」の一環として、我が国で初めての電子公証システムを構築し、公共および民間分野のアプリケーション業務を対象とした実証実験を、明日から順次開始する。
 電子公証システムは、財団法人ニューメディア開発協会が事務局を務める電子ネットワーク協議会(会長:関本忠弘)において、インタ−ネットなどの電子ネットワークを介した商取引(エレクトロニック・コマース)を、企業や個人がトラブルなしに安心して利用することができるようにするために、「電子公証人制度」などについて平成4年度から4年間にわたり検討してきた成果に基づいている。

1.電子公証システムとは
 インターネットの普及によって、新しいビジネスの実現や紙による既存の商取引の電子化が試みられている。そこでは、セキュリティに十分に配慮した電子ネットワークの実現のみならず、契約書などの重要性の高い電子文書の伝送をネットワーク上で行うことを可能にする、種々の証明行為がネットワーク上の公正な第3者機関によって行われることが期待されている。
 電子公証システムとは、そのような期待に応えた、「公正な第3者機関によって運営される電子情報の管理システムであり、複数または単独の利用者が登録した文書などの電子情報を、その内容が変更・削除されるなどの恐れのない保存方法や保存形態により、一定期間保存し、利用者にその内容の明示を求められたときに、その事実(誰が、いつ、どの文書を、誰宛てに送付したのか)があったことを証明する社会システム/情報システム」である。

2.電子公証システムのサービス
  電子公証システムでは、電子文書の登録・保管サービス、登録文書の照会サービス、証明書発行サービスを提供する他、登録文書の配達サービス、登録文書を登録者以外の利用者が承認するサービスなどを提供する。
 実験運用する電子公証システムは、電子公証センタとCA(認証局)から構成されている。電子公証センタにおける保存媒体として追記型の記録媒体を利用することにより、電子公証システム内でのデータの変更や削除を防止して、電子公証システムに登録される電子情報の証拠力や証明力を高めている。また、CAにより発行されるICカードまたはフロッピ−ディスク中の「秘密鍵」と「公開鍵証明書」を用いて、利用者が送信する電子情報を暗号化し、セキュアな電子メールの形式で送信することにより、電子ネットワーク上でのデータのセキュリティを向上させている。

3.実証実験の対象
 公共性の高いアプリケーション業務として、情報処理技術者試験などの受験申請をインタ−ネットを介して提供する「オンライン受験申請受付業務」、官公署へ提出する各種申請書類をインタ−ネットを介して提出する「行政書士文書届出業務」、電子化された出版物に関する著作権を保護・管理する「電子出版著作権管理業務」を対象として電子公証システムの有効性を検証する。
 また、ビジネス性の高いアプリケーション業務では、街頭に設置された端末で商品をネットワークを介して注文し決済までを行う「街頭端末による無店舗販売業務」、また一物一価である古書籍をインタ−ネットを介して受発注管理する「古書籍販売業務」を対象として電子公証システムの有効性を検証する。
 平成9年9月12日から「オンライン受験申請受付業務」が稼働を開始する。その他のアプリケーション業務に関しては、順次稼働していく予定である。

4.実証実験の概要

(1)オンライン受験申請受付業務
■実験内容
 郵送により受け付けられている、情報処理技術者試験及びパーソナルコンピュータ利用技術認定試験の受験申請受付業務を、インタ−ネット経由で電子公証システムを使用することにより、利用者が容易にかつ確実に受験申請できる環境を実現する。
■実験主体
 セコム情報システム(株)
■協力機関
 (財)日本情報処理開発協会情報処理技術者試験センター
 (社)パーソナルコンピュータ利用技術協会
■利用者
 個人モニタ 400人  団体モニタ 10団体
■実験期間
 平成9年9月12日から平成10年2月末日まで

(2)行政書士文書届出業務
■実験内容
 農地法、建設業法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律など各法令により義務づけられている、届出・申請手続における官公署への文書提出や行政書士への結果通知を、インタ−ネット経由で電子公証システムを使用することにより、行政書士、官公署が安全に一連の手続きを実施できる環境を実現する。
■実験主体
 日本行政書士会連合会
■協力機関
 宇都宮市 兵庫県 神戸市 他3自治体
■利用者
 行政書士 50人
■実験期間
 平成9年10月13日から平成10年2月末日まで

(3)街頭端末による無店舗販売業務
■実験内容
 街頭に設置された現金/クレジットカード併用型マルチメディア・キオスクを利用したオンラインショッピングにおいて、商品提供者、配送業者を加えた新しい流通機構の在り方を検証し、電子公証システムを利用することにより消費者保護に十分に配慮した電子ネットワーク市場の新しい仕組み作りを目指す。
■実験主体
 沖電気工業(株)、(株)四次元ポート、(株)日本総合研究所、(株)出版ニュース社
■設置場所
国内−東京都中央区・江東区・新宿区・千代田区・港区、神奈川県横浜市、埼玉県蕨市などにおける
   コンビニエンスストア、銀行内ATMコーナ、企業内パブリックスペース
海外−シンガポール、香港、オーストラリア、アメリカにおける日本企業現地法人、日本人クラブなど
■利用者
 個人利用モニタ 約1200人  一般消費者 約300人
■実験期間
平成9年9月15月から平成10年2月末日まで

(4)古書籍販売業務
■実験内容
 神田古書店連盟が平成8年10月より開設しているホームページ「ブックタウン神田」において、電子公証システムを利用することにより、インタ−ネット上で国内および海外の会員に目録を迅速かつ公平に配布して、目録掲載書目を安全、確実に売買できる環境を実現する。
■実験主体
 神田古書店連盟 (株)社会調査研究所 (株)経葉社
■協力機関
 神田古書店連盟 加盟16店舗
■利用者
 個人会員 800人
■実験期間
 平成9年9月22日から平成10年2月末日まで

(5)電子出版著作権管理業務
■実験内容
 書籍、雑誌などの出版物の電子化、電子ネットワークのオープン化に伴い、電子出版物の著作権に関する保護、管理の明確化および強化の必要性が著作者、出版社などから指摘されている。これに鑑みて、インタ−ネットなどのオープンな電子ネットワーク上で電子公証システムを利用した電子出版物の著作権に係わる権利保全業務および販売業務を実現する。
■実験主体
 松下電器産業(株) PICTO-ROM出版研究会 (株)経葉社 (株)社会調査研究所
■協力機関
 出版社 10社から12社
■利用者
 著者モニタ 30人  個人モニタ 800人
■実験期間
 平成9年10月6日から平成10年2月末日まで


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                 担当 丹波、伊藤
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