電子公証システムは、電子ネットワーク上での約束(すなわち契約)を可能にするシステムです。電子ネットワーク上での契約を安心して行うためには、解決すべき2つのポイントがあります。
1点目は電子ネットワーク上の通信を安全に行うことです。契約の内容を盗み聞きされたり、意図しない相手と意図しない内容で契約してしまっては大変です。幸いにも、最新の暗号技術を駆使することにより、盗聴、なりすまし、改ざんといった脅威を克服できるようになりました。
2点目は電子情報が効力を持つことです。せっかく電子ネットワーク上で契約を行っても、その契約に効力が無ければ意味がありません。ところが、これを実現することは容易ではありません。
契約の期間が1週間ならば、先ほど同様の暗号技術を用いれば容易に実現できるでしょう。これが3年となると話は別です。3年もの長い間に亘って、今の暗号技術が絶対に破られないという保証が必要になるからです。いくら技術者が大丈夫だと言っても、万が一の事態が生じた場合、被った損害は誰も補償してくれません。電子情報に効力を持たせることは、今の技術と心中することを意味するのです。
電子公証システムでは、安全な電子ネットワークを実現した上で、さらに、電子公証センタという「信頼できる第三者機関」を設置します。ここでは、利用者が登録する電子情報を確実に保管し、必要な場合には、当時の事実関係を確実に証明します。一切の利害関係から切り離された信頼できる第三者機関が介在することによって、電子公証システムでは安心して電子ネットワーク上で契約を行うためのインフラを提供するのです。