2 横須賀市の電子入札システム
   (平成13年度先進地域等検討部会2日目視察会から)

           横須賀市企画調整部情報政策課 前田幸一郎氏

 ◆日時:平成13年12月7日 9:30〜11:30
 ◆場所:横須賀市

1.導入状況及び今後の予定

 電子入札導入の検討は、平成11年7月から開始しました。平成13年4月に、業者登録データの更新、入札参加申請受付がWEB上で稼動しています。13年9月21日、電子入札システムが一部稼動しています。この一部と言うのは、1500万円以上の土木一式工事と舗装工事、1000万円以上の建築一式工事の案件に関して、事務合理化の観点から紙との併行でなく全て電子データで受け付けていることです。
 横須賀市指名業者約1800社中、約250業者がこの工事案件に該当しています。電子入札システムによる始めての開札は、10月10日に行いました。本日(12月7日)までに12回行われ、ほぼ順調に稼動しています。電子入札案件の公告は、毎週月曜日、開札は毎週木曜日(H14.01から毎水曜日)に行っています。
 平成14年1月中には、市内、準市内業者を対象とする工事案件について電子入札システムが稼動し、3月中には市外業者を含む案件まで拡大する予定です。さらに、15年度には物件購入・委託業務についても電子入札に移行する計画です。
 初期投資は1億2千万円、運用費用は年間1千万程度です(全体の運用管理を委託)。

2.電子入札の導入の目的

 横須賀市の電子入札導入目的は、主に契約業務の効率化です。入札正常化の目安となる落札率は、平成10年7月の「条件付き一般競争入札」導入により既に低下しています。
*平均落札率(契約差金)の推移:
 9年度95.7%(13.2億)、11年度85.7%(32.1億)、平成12年度87.3%(41.8億)
 電子入札稼動が、平成13年度であることから、落札率の低下が電子入札に依存していないことがわかります。入札制度改革の効果は、指名権の放棄により一入札案件当りの参加事業者増を生じ、入札に競争性が生じたこと、及び、業者の資格格付けを廃止したことにより行政の恣意が排除された点にあります。
 11年度には一連の業務改革を行いました。発注工事情報・入札結果のホームページ掲載、入札参加申請のFAX送信、郵便による入札書送付です。これにより、事業者は一度も市に足を運ぶこと無く入札に参加することができ、官・民、民・民の接触排除を行うことができました。
 電子入札には、1億2千万円の費用がかかりましたが、システム導入により契約課の職員は、平成15年度までに順次3人減員し、7人から4人になる予定です。

3.入札から開札までの流れ

 契約課職員の改竄、時間操作を避けるため、入札書は事業所から原本性保証のための公証局(サーバ)に送信、公証局は認証局に本人確認を行った上、原本担保を行い、同時に受領書を発行します。入札書は、開札時刻まで公証サーバに保管され、入札書送信締切時刻と同時に、入札書のハッシュ値のみが公開されます。開札の時刻がきて、始めて契約課は公証局から入札書を取得することができます。事前に公表したハッシュ値と取得した入札書のハッシュ値を照合し、正しければ開札を行うシステムになっています。開札結果は、セキュリティ上、オフラインで財務会計システムに移行します。
 「認証」、「公証」、「入札アプリケーション」は、それぞれ独立し稼動するシステム構成になっているため、それぞれ他の自治体間で広域利用することが可能です。

4.電子入札の実演

 会場にて事業者側の入札オペレーションと、契約課開札室にて自治体側の開札実演、最近の案件の開札結果の説明がありました。

 現在、認証は独自方式をとっていますが、安価でかつ全自治体が共有利用可能な認証方式が確立されれば移行する予定です。公証は、電子市役所として他のアプリケーションにも活用して行く予定です。入札アプリケーションは、平成15年度を目指してさらに拡張を計画しています。また、それぞれ、広域での共有利用も視野に入れています。


                 図1 電子入札システム全体イメージ


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