ひがし茶屋街は、かつての「廓」である。夕暮れになるとお茶屋の
格子から明かりが洩れ、芸奴さん達は軒から軒へ忙しくお座敷を巡る。
 大店の旦那や殿様が遊びに行くのは上町の廓で、この茶屋の紅殻格
子は「キムスコ」と呼ばれる、外から内はほとんど窺うことができな
い造りとなっている。旦那衆が遊んでいるときに中が見えては困るが、
女将は中から外が見えないと困る。そんなことから、キムスコの造り
となった。そして、「粗い紅殻格子」の下町がこの上町を囲むように
軒を連ねていた。下町では、5時くらいに陽が沈むと格子だけにして
裸電球の下で客を待ったようである。
 「紅殻格子」とは、防腐剤として二酸化鉄の液を塗り漆で固めた格
子である。ベンガル地方からきたので、当て字で紅殻となった。 


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