従って、カード製造メーカが国際標準規格に準拠した一つの密着型ICカードを製造する場合には、対象である国際標準規格から当該カードが準拠すべき仕様を選択する、またカード設計開発過程において策定される詳細仕様(以下、設計開発仕様という)をカード製造メーカ毎に策定することが必要であるが、その結果として、国際標準規格に準拠した密着型ICカードでありながら、カード製造メーカ各社間における互換性、相互運用性が確保されない事態に陥ることは先の述べた通りである。
以上を踏まえるならば、カード製造メーカ各社により提供される国際標準規格に準拠した密着型ICカード間での互換性、相互運用性を確保するために、国際標準規格から選択する仕様を将来的にデファクト標準として位置づけられ得る仕様とすること、そしてカード製造メーカ毎に策定する設計開発仕様を、カード製造メーカ各社間で共通化すべき仕様とカード製造メーカ各社固有の仕様に分離することが有効な一つの解決方策として考えられる。
そこで、図2.1に示すように、国際標準規格から選択された将来的にデファクト標準として位置づけられ得る仕様と、カード製造メーカ毎に策定する設計開発仕様から抽出されたカード製造メーカ各社間で共通化すべき仕様を統合した仕様を実装規約として策定することにより、国際標準規格に準拠した密着型ICカード間での互換性、相互運用性を確保する。
また一方、密着型ICカードに記録されているデータを読み出すために必要不可欠な構成機器であるリード・ライト・ユニットは、国際標準規格が厳密に制定されていないため、密着型ICカードに比較して互換性、相互運用性を確保することがさらに困難であると考えられるが、本実装規約書において策定された密着型ICカードを対象とする実装規約に倣い、それに対応したリード・ライト・ユニットに関する実装規約を取り纏めることとする。