第5回FSP選考委員長総評
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受賞コメント
AL-Mail
電信八号
ComeBackImage
バ−チャルペインタ−
fml
六角大王
UNLHA32.DLL
WinGroove
対局囲碁 睦月
秋保窓
第5回FSP(1996)
- 選考委員会委員長 石田晴久 -
今回から「部門賞」という名前ではなく「入賞」という名前になった。各ジャンルで作品を絞ることなく、良いものは良いと幅広く選考していこうという選考委員の気持ちの表れである。
大賞はインターネット用通信ソフトの「AL-Mail」が選ばれた。実は前回も名前があがっていたが時期尚早という意見があり見送られたものである。今回、文句なしで晴れての受賞となった。また、入賞した「電信八号」もインターネット用通信ソフトである。前回の総評で、フリーソフトの世界もDOSからWindowsへ移行したことが実感できると書いたが、今回はインターネットの普及を実感できるものとなった。
続けて入賞作品を紹介すると、昨年同様、画像や音声といったジャンルから4作品が選ばれた。「ComeBackImage」は基本のしっかりしたフォトレタッチソフトであり、「WinGroove」は特別なハードウェアを使用することなく高音質のMIDI演奏ができる。「バ−チャルペインタ−」と「六角大王」はそれぞれユニークな視点から作られた画像ソフトである。「UNLHA32.DLL」は、第1回FSPで大賞となった「LHA」の移植版であるが、このDLLにより多くの作者が恩恵を受けている点が評価された。「fml」は、昨年の「インターネット賞」に相当するもので、インターネットの日本での発展の中、こういったソフトが日本から出ていることは素晴らしいと思う。「対局囲碁 睦月」は、チェスなどと比べて難しい思考ルーチンを対局レベルで実現している。
また、「特別賞」として「秋保窓」が選ばれた。Windows用フリーソフトの普及に個人の立場から大変な努力をされたものである。
以上、今回も様々な特徴を持った優秀な作品を選ぶことができて、たいへん嬉しく思う。
AL-Mail
- 中村 匡志 -
全く予想もしていなかった「フリーソフトウェア大賞」の受賞に、大変驚いています。最初は自分が使うために作り始めた AL-Mail ですが、ネットワークを通じて公開することで、多くの貴重なご意見を頂いてきました。AL-Mail はユーザの皆様からの「声」によって成長してきたのです。私一人の力では、決してこのような栄誉ある賞を受賞することは無かったでしょう。AL-Mail を支えて下さったユーザの皆様に、改めて感謝の意を表したいと思います。
電信八号
- 石岡 隆光 -
ありがとうございます。賞なんてものには縁がないと思っていましたのでとてもうれしいです(バグ情報や改良案などをくださったユーザの方々には、なかなか返事を差し上げられないので、この場を借りてお礼申し上げます)。
初期の readme.txt に書いた「道具は組み合わせて使え」等の能書きが受けたのでしょうか。
最近の電信八号は、必ずしもこの初期の理念に忠実なものとは言えなくなってきていますが、その原因は私の意志薄弱さばかりではなく、やはりGUIというものの本質によるところが大きいのではないでしょうか。
つまり、ユーザの自由なセンスによるアプリ間の連携が、ほとんど不可能であるという点です。
とっつきやすいけど、そこまで。
CUIに戻る以外の方法で、このへんをなんとかできんものかなぁ、と、いつも思っています。
ComeBackImage
- 青木 康雄 -
未だ驚いております。とっても嬉しいです。オンラインソフトの開発に全力を注ぐため、サラリーマンを辞めて独立した早々の出来事でした。幸先いいだけでなく、人生においても素晴しいハプニングだと思っております。
今まで ComeBackImage を愛用し、また、支えてくださったユーザーの皆さんに心から御礼申し上げたいです。
これからもバリバリ歩いていきますので、どうかよろしくお願いいたします。
バ−チャルペインタ−
- 梅村 高 -
名誉ある賞をいただいて驚いています。
励まして下さった皆様、ありがとうございます。
さて、今やパソコンやそのネットワ−クが私達に与える影響はSF的ですが、多くのユ−ザ−がソフトを単なる道具としてしか見ていない点が気になります。道具の必要性とすばらしさは今さら言及するまでもありません。しかし道具としての用法はソフトに従属を求めます。つまり道具としてのソフトは期待した結果に導いてくれるかも知れませんが、それ以上の飛躍を与えてはくれません。
私はソフトのもっと別の用法を開発したいと思っています。
例えば、身の回りの意味不明のノイズを翻訳して様々にその姿を映し出すこと。その結果は期待外れかも知れませんが、期待を超える可能性もはらんでいます。
このように「提案を聞く」用法は、21世紀を迎える上でのマナ−でしょう。
そういえば2002年日本がワ−ルドカップで優勝するといいなあ。
頑張れニッポン!
fml
- 深町 賢一 -
最新のネットワーク環境を考慮しつつ、いじりがい(遊びがい:-)のある
programでありつづけるよう精進したいとおもっております(^^;)
六角大王
- S.Furushima (古島終作) ともNAK(森田利広) -
3次元CGソフト、六角大王マック版の開発を始めてから4年近くたちます。いままで開発を続けることができたのはひとえにユーザーのみなさんの応援があったからだと思います。ユーザーの方々からはげましのお便りやメールをもらうたびに作ってきてよかったと感じます。
経済効率が優先される今の社会では、本業・副業・ボランティアを問わず自分の仕事がどこでどう生かされているのか体感できることは少ないと思います。その結果、人が仕事に地位や名声や己の安寧を求めるようになるのはごく自然なことなのかもしれません。しかし、本当に大切なのは自分の仕事が人の役に立っているかどうかであり、そして実際に役立っていればそれが自分にとっても一番うれしいことなのだと思います。そんなことを六角大王のユーザーの方々に教えてもらえたような気がします。
とはいえ、このたび受賞という名声をいただけたことは正直言ってとても嬉しいです。ありがとうございました。(古島)
この度は素晴らしい賞を頂きありがとうございます。
六角大王を初めて見たときは「一体どうすればこんなことができるのか?」と思い驚きました。それが、ひょんなことからWin版への移植を手がけることになり、現在では予想を遥かに超える多くの方に使って頂けることとなりました。
今回入賞に選ばれたのも、六角大王のもつ「他にない独特さ」と、ユーザの皆さんの「熱意」の、両者の賜物だと思います。
ユーザの皆さん、どうもありがとうございます。また、六角大王に携わる機会を与えていただいた古島氏に感謝します。(森田)
UNLHA32.DLL
- Micco -
移植ものにもかかわらず授賞と言うことで嬉しく思っています。昔からフリー・シェアウェアのソフトには大変世話になっていたので,UNLHA(32).DLL で少しは恩返しが出来たかな?と思ってます。
WinGroove
- 中山裕基(あざらし) -
私はコンピュータソフトウェアの製作、特にフリーソフトウェアやシェアウェアの製作を、絵画や音楽の製作と同じような、芸術的要素を多く含んでいるものだと考えています。浮かんでくる様々なアイデアをコンピュータが解釈出来るコードやデータとして作り込んでいくのですが、その多くは手作業によるものです。高速に動作しなければならない混み入った部分をプログラムする時には、まるで米粒に筆で絵を描いているような気分になります。そして製作に苦労した作品が完成した時の喜びは、なかなかのものです(WinGrooveの場合は製作開始から最初のバージョンの発表まで約1年を要しました)。
一方、市販ソフトウェアの製作や企業の一員として作業する場合には、生産性や納期が重要視されますので、芸術性ウンヌンなどとは言っていられないのでしょう。近年の市販ソフトウェアの多くは、CPUパワーやメモリの増加に伴って機能こそ充実してきていますが、緻密さは失われていると感じます(繊細な処理を行おうとすると、すぐにバグが顕在化する市販ソフトが増えていると思います)。
その点フリーソフトウェアやシェアウェアは、作者の能力やこだわりを思う存分注ぎ込め、しかも多くの人々に発表出来るすばらしい場所だと思います。
FSPという、フリーソフトウェアを応援して下さる場を作って頂いた皆様には本当に感謝いたします。
対局囲碁 睦月
- 吉田 剛尚(睦月) -
思いも寄らない受賞でした。
先輩格の囲碁ソフトや将棋などの対局ソフト、その他多くのゲームソフトの中から選ばれたことには、大変なうれしさを感じています。
C言語の勉強のつもりで作り始めたソフトでしたが、フリーウェアとして公開、さらにはシェアウェアに、そして今回の受賞と、いろいろと感慨深いものがあります。
前述のFOST杯囲碁選手権は97年は名古屋で開かれる世界人工知能学会に併設して開催されますが、世界の強豪ソフトに少しでも近づけるように今後もがんばりたいと思います。
秋保窓
- 樋口 隆司 -
とても嬉しいです。僕のやってきたことが多少なりとも皆さんのお役に立ったと評価していただけたのだと思います。秋保窓が現在の「窓の杜」になるまで,いろんな苦労がありましたが,それらを乗り越えて続けて来られたのは,ネットワークの向こうにいる多くの人たちの応援と支えがあったからこそです。本当にありがとうございました。特に「窓の杜」ではなくその前身の「秋保窓」に対して,しかもプログラマーではない僕がこのような賞をいただけることは,僕としては非常に感慨深いです。これからもソフトウェア作者と利用者を結ぶ架け橋になれればと思っています。