はじめに

近年、マイクロプロセッサを搭載し、個人認証機能、セキュリティ機能等をその特徴として有する CPU 付 IC カードが注目を浴びている。この CPU 付 IC カードは、カードとリーダ・ライタ間のデータ送受信を接点を介して行う外部端子付 IC カードと、電磁誘導等により接点を介さずに行う非接触 IC カードに大別される。さらに非接触 IC カードは、カードとリーダ・ライタの間隔が数ミリメートル程度の密着型 IC カードと、それ以上の間隔に対応したリモート式 IC カードに分類される。

非接触ICカードは、外部端子付ICカードとは異なり接点を介さないため、埃、水等周辺環境に左右されず、また移動しながらでも利用可能であることから、外部端子付ICカードに替わる次世代カードとして有望視されている。このうち、密着型ICカードについては、国際規格ISO/IEC10536シリーズの制定がほぼ完了している。

財団法人ニューメディア開発協会では、通商産業省からの出資を受けて情報処理振興事業協会が実施する「エレクトロニック・コマース推進事業」の一環として、国際規格ISO/IEC10536に準拠した非接触ICカード即ち密着型ICカードの技術開発を行ってきた。

本規約書は、ICカードの互換性およびカードとリーダ・ライタとのインタフェースを確保するため、国際規格を補足すべき仕様を定義しており、上記技術開発において実施した標準作成作業の成果を纏めたものである。本規約書が、国際規格に基づいて開発するカード製品の互換性確保の一助になれば幸いである。

なお、本規約書の作成に関し、多くのご意見と建設的なご討議を賜りました「ICカード仕様TF」の委員各位、さらには積極的なご支援を賜りました通商産業省および情報処理振興事業協会の方々に対し、厚く御礼申し上げる次第である。

平成10年2月

財団法人 ニューメディア開発協会


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